むかし むかし、かなざわの うみべの おおのの むらに、ひとりの わかものが やって きました。
ぼさぼさの かみを わらで しばり、てぬぐいを かぶった へんてこな かっこう。
「わしは やしち。よう はたらくさけ、つこうて くだされ」
やしちは、ほかの ひとの ばいも はたらいて、「ほめて くだされ」。
「いばるな! はたけを たがやすのは、おまえが たべた まんまの ちからじゃ」
しかられて、やしちは すなおに あやまりました。
つぎの ひ、やしちが ゆうがたに なっても かえって きません。
みに いくと、たてた くわに おべんとうを ぶらさげて、やしちは ごろり。
「へえ、まんまが はたけを たがやすのを みとるんです」
「……こりゃ、まいった」
「これからは、いわれた とおりに せえ」
だんなさまが「こもを あんで くれ」と たのむと……
やしちは あんで あんで、にわいっぱいの ながあい こもが できました。
「まだ『やめ』と いわれとらんもん」
むらの おとこが「まめが ごこく いっとも とれたわい」と じまんすると、やしちは わらいました。
「わしなら、いっぽんの まめの きで、ごこく いっと とって みせる」
「そんな だらな こと、できるかいや!」
やしちは、ざる いっぱいの まめを、はたけの ひとところに どさっと まきました。
そして まいにち まいにち、みずを かけては「そおれっ、ごこく いっと じゃあ!」
こやしを やっては「そおれっ、ごこく いっと じゃあ!」
みんな あきれて しまいました。
ひとつき たって、まめの めが いっぽん、ぴょこん。
「もっと のびろ! そおれっ、ごこく いっと じゃあ!」
まめの きは、にょき にょき にょき……
やしちの せたけも、まつの きも こえて いきます。
なつ、まめの きは とんびに とどくほど のびて、さやが どっさり。
やしちが おので きりたおし、まめを ますで はかると……
ちょうど ごこく いっと!
みんな、びっくり ぎょうてん。
その まめの きの みきで つくった たいこが、かなざわ ほんまちの さいふくじに つたわって いる そうです。
やしちの きの ぞうも あるのだとか。
ぽん ぽこ ぽん まめがらたいこ