魚の恩がえし

かなざわ みんわえほん

むかし、もりもとがわの そばの はったの むらに、すずき しんくろうという はたらきものが いました。
つりが じょうずで、とれた さかなは、むらの としよりに わけて あげて いました。

▲ さかなを タップして、かわへ かえして あげよう
げんきでな!

ある ひ、びくは もう さかなで いっぱい。
「こんなに たくさんは いらないな。
さあ かえして やるから、げんきでな」

ゆうやけを ながめて いると、うつくしい むすめが たって いました。
「わたしは さっき にがして もらった すずきです。みよと もうします。どうか、あなたの およめさんに して ください」
しんくろうは、びっくり!

ふたりは ふうふに なりました。
ある はる、みよが いいました。「いのちを とるのは、ほとけさまの こころに そむきます」
ふたりは つりを やめ、ねんぶつを となえました。

なんねんも たった ある よる。
「わたしは りゅうぐうから きた すずき。もう かえらなければ なりません」
みよは、だいじに して いた ちいさな ぼさつさまを わたしました。
「ねんぶつを、わすれないで くださいね」

「みよ、まって、まって おくれ!」
みよの すがたは、ゆうやみの なかへ すうっと きえて いきました。
つぎの ひも、しんくろうは むらじゅうを さがしまわりました。

きが つくと、あの すずきを にがした きしに いました。
いっぴきの すずきが、しずかに ねむって いました。
「みよ……」しんくろうは すずきを、おみやの そばに ねむらせました。

しんくろうは ながく むらを おさめ、としを とって、みよの となりで ねむりました。
つぎの としの はちがつ。そこには、ぎんいろの すすきが いっぱい はえて いたのです。

しんくろうの「すずき」、さかなの「すずき」、くさの「すすき」。
それで おみやは「みすすきの みや」と よばれました。
いまも はったまちでは、はちがつに おまつりが あるそうです。

タップすると ひかりの たまが のぼります ✦
おしまい
金沢市八田町に伝わる
「魚の恩がえし」より 再話・絵
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