おおかみを退治したこま犬

かなざわ みんわえほん

むかし むかし。かなざわの なるわから、ずっと やまおくの むらに、でんとうじという おおきな おてらが ありました。
ながい いしだんを のぼった ところには、こまいぬが ふたつ。もんばんの ように、めを きらりと ひからせて すわって いました。

あるひ、おじいさんが まごの みよを だいて、おてらに かけこんで きました。
「ゆうべ おおかみに、みよの てを かまれました。ぼうで おいはらったけれど、こんどは なかまを つれて くるに ちがいない。どうか みよを かくまって ください」
「よし、まかせなさい」

その よる、そらが きゅうに あれだしました。
おしょうさんが おきょうを よんで いると――うおおーん……。おおかみの こえが、おてらを ぐるりと とりかこみます。
との すきまから のぞくと、くらやみに ひかる めが、にじゅう、さんじゅう……。
「こわいよう」「だいじょうぶじゃ」

▼ こまいぬを タップして みよう
わん! わおーん!

そのころ、いしだんの うえで――。
こまいぬの めが、きらり! と ひかりました。

えの こまいぬを タップ してね

むらでは おじいさんが、ほとけさまに ひっしに てを あわせて いました。
すると……ぴたり。おおかみの こえが やみました。
かぜも やんで、おつきさまが おてらを しずかに てらして います。
おじいさんは おつきさまに、ふかく あたまを さげました。

あくる あさ。おじいさんと むらの ひとたちが、おてらへ いって みると……
みよは ほんどうで、すやすや ねむって いました。
「よかった、よかった」
おじいさんは なみだを ながして よろこびました。

「あっ! たんぼを みてみろ」
おてらの したの たんぼに、おおかみたちが めを まわして、あっちにも こっちにも のびて いました。
「そういえば ゆうべ、いぬの ほえる こえが したぞ」
「しろい ものが ふたつ、いしだんを かけおりて いくのを みたぞ」

みんなで いしだんの うえの こまいぬを みに いくと……
かおも せなかも、ひっかき きずだらけ。
「おおかみを おいはらって くれたのは、おまえたち だったのじゃな」
おしょうさんは、よごれた こまいぬの くちもとを、ころもの そでで そっと ふいて やりました。

こまいぬたちは いま、でんとうじより もっと やまおくの、まきの「みかわじんじゃ」に おさめられて いると つたえられて います。
むらを まもった ふたつの こまいぬ。いまも しずかに、やまの むらを みまもって いるのでしょう。

タップすると ひかりの たまが のぼります ✦
おしまい
金沢・伝燈寺に伝わる
「おおかみを退治したこま犬」より 再話・絵
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