むかし むかし、やましなの さとに、とうごろうという わかものが すんで いました。
やまいもを ほって くらす、びんぼうだけれど、こころの やさしい ひとでした。
あるひ、とおい やまとのくにから、わごひめという むすめが たずねて きました。
「かんのんさまの おつげで、あなたの およめさんに なりに きました」
わごひめは、もってきた さきんを とうごろうに わたしました。
けれど とうごろうは、きんの ねうちを しりません。
「こんな すなつぶ、いもを ほれば いくらでも ついてくるよ」
ぽーん! さきんを とりに むかって なげて しまいました。
おどろいた わごひめと いっしょに、とうごろうは やまへ むかいました。
くわで つちを ほると――ごろん、ごろん。
おおきな やまいもが、つぎつぎ でて きます。
さわの みずで、いもを あらって みると……
あれ? どろの なかで、なにかが ひかったような。
きらきら、きらきら!
いもの ねっこには、ほんものの さきんが、たくさん ついて いたのです。
とうごろうの ことばは、ほんとうの ことでした。
ふたりは おかねもちに なりました。
でも、いばったり しません。
こまっている ひとたちに、きんを わけて あげたのです。
いもを あらった さわは、いつしか「かねあらいの さわ」と よばれる ように なりました。
そして この まちの なまえは――かなざわ。
いまも けんろくえんの そばには、「きんじょうれいたく」という いずみが、しずかに わいて います。